小説80
2008年 05月 13日
「香穂里と書いてカオリと読むんだ。名前なんだからどう読ませても構わんということだろう。」と、珍しく堀口はすぐに返事を寄こしてきた。そんなことはどうでもいい。もっと大事な何かを訊かなければいけないはずだ。そうだ、堀口は「オレが会いたいと思った」と言った。そして、「香穂里が気に入って小説の題材にした男」とも。つまり、その男がぼくだと言うことなのだろうか。
「ぼくを題材にして彼女が小説を書いたというんですか?」
堀口は遠い記憶を探るように少しだけ目を細め、ゆっくりとぼくを見た。
「そのようだな。もちろん、あんたのことをそのまま書いたわけではないだろうがね」
ぼくは、先ほど“銀座”が言っていた言葉を思い出した。アイドルが主人公の恋人役で、大学生の設定だということだった。つまり、あのアイドルが演じるのがぼくだというのか。
「ぼくを題材にして彼女が小説を書いたというんですか?」
堀口は遠い記憶を探るように少しだけ目を細め、ゆっくりとぼくを見た。
「そのようだな。もちろん、あんたのことをそのまま書いたわけではないだろうがね」
ぼくは、先ほど“銀座”が言っていた言葉を思い出した。アイドルが主人公の恋人役で、大学生の設定だということだった。つまり、あのアイドルが演じるのがぼくだというのか。
by ktaro1414
| 2008-05-13 08:45
| STORY