小説62

 朝、目が覚めると横には素顔の豊田瀬梨香が寝ていた。ふと時計を見るとまもなく11時になろうとしており、ぼくはあわてて彼女の肩を揺すった。
「やばい、もうすぐ11時ですよ」
このところ、豊田瀬梨香とこういうホテル、いわゆるシティホテルというものに身分不相応にも泊まることが多く(もちろん寝るだけではない)、そういったホテルのチャックアウトが概ね11時だという事がこんなぼくにもわかってきていたのだ。
「んー・・・」そう言って、眠たげな目を少しだけ開けた豊田瀬梨香がこれまた眠そうに言った。
「チェックインの時にレイトにしてもらってるからいいのよ」
レイトってなんだ?ぼくは訳がわからずもう一度言った。
「11時ですよ。チェックアウトしないと」
「だからぁ、レイトにしてるから1時までいいのよ。もう少し寝よ。昨日は少し飲み過ぎたわ」
そう言ってぼくに背を向け、再び眠りについたようだった。はっきりとは理解できなかったが、とにかく1時でいいと言っているので、ぼくももう一度眠りにつくことにした。ぼくもやはり飲み過ぎたようだ。
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by ktaro1414 | 2007-07-30 20:12 | STORY