忘れた頃に、突然更新


by ktaro1414
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

小説58

「六本木までお願いします。」
運転手にそう告げて、彼女はタクシーのシートに深く身を沈めた。どこに行くのかと尋ねるボクに、「何処にしようかしら」とだけ言ってそのまま黙ってしまった。仕方なくぼくも黙ったまま流れる外の景色を眺めていた。その間、彼女は時折運転手に行き先を指示していた(それは相変わらずてきぱきとしていた)。ぼくはそれを聞きながら、結局行き先は決めてんじゃないか、そう心の中でつぶやいた。
「何にする?」そう言う彼女に「何がですか?」と答え、「何を食べるかってことよ。」という彼女に「決めてるんでしょ?」と返し、「どうして?」と言う彼女に「だって行き先決めてるじゃないですか。」と言い返した。
「行き先だけはね。でも、何を食べるかは決めてないわ。何がいい?」
「何でもいいですよ。まあ、出来ればフレンチとイタリアンと中華以外がいいですね。」
「そう。」それだけ言って彼女は再び黙ってしまった。少し子供じみているかとも思った。ただ、決めていると言っている場所に何があるのかわからなかったが、たいていその3種類をはずせばカジュアルな居酒屋のような店になるだろうと思ったのだ。
[PR]
by ktaro1414 | 2007-07-02 18:30 | STORY