小説54

 何とか無事に彼女をぼくの部屋まで運び込み、ベッドに横にさせたときには時計は12時をまわっていた。ぼくは冷蔵庫からハイネケンとソーセージを取り出して、ソファに腰を下ろした。何もかもあの時のままの様な気がした。ベッドの方に目をやると、彼女の寝顔が見えた。少しだけ粗い寝息が聞こえた。あの時は寝てなかったんだよな、そんなことを思いながらぼくはハイネケンを飲み、ソーセージを囓った。そして、顔を洗い歯を磨いて、シャワーを浴びようか少し迷ってやめた。ぼくは押入からタオルケットを取り出し、もう一度ベッドの鮎川の様子を確認してソファに横になった。
 夜中に突然目が覚めた。ぼくの胸の当たりに鮎川の顔があった。いつの間にかソファに横になっているぼくの横に入ってきたようだ。ソファはたいした大きさはないので、ひどくくっついた状態で彼女は寝ていた。彼女の寝息の暖かさがTシャツを通してぼくの胸に伝わってきた。少しだけ開けた窓からは全く風は入ってこず、ぼくの体にはじっとりと汗がからみついていた。ぼくは彼女を起こさないようにゆっくりとソファから抜け出し、火照った体を冷やすように冷たいシャワーを浴びた。
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by ktaro1414 | 2007-06-20 18:05