小説33

「ねえ、なんでオレたちみたいな学生なんかと合コンしたのかな。」どうでも良いことだけど、何となく訊いてみた。
「オレたち?」
「そう、オレたち。」
「オレたちって、学生なの矢口さんだけじゃないんですか?」
「えっ?唐沢がそう言ったの?」
「はい。」
どうも、唐沢は社会人だと嘘をついて彼女たちを誘ったみたいだった。
「ま、いいけど。学生だよ、少なくともオレを入れた3人は大学3年。ひとりはオレも知らない奴だったからわかんないけど。あ、出来たら、このことはキミの友達には内緒にしといてもらえるかな?」
「別に言いませんけど。なんでそんな嘘つくんですかね?」
「わかんないよ。」
「ふうん。そうですよね。じゃあ、矢口さんが3浪してるってのも嘘?」
「オレが3浪?」ぼくは思わず吹き出してしまった。「そんなこと言ったんだ。無理やり年齢合わせたな、あいつ。」
「そっかあ、じゃあ矢口さん私より年下なんだ。」
「え?スチュワーデスのタマゴって、学校に行ってるんじゃないの?」
「あ、そうだ。そういうことになってたんだ。」彼女は首をすくめながら言った。「それも嘘。ホントはね、GH。地上勤務なの。」
「そういうことか。でもそっちのは、まるっきり嘘ってわけでもないね。」
いつの間にかぼくは、ハーパーのハーフロックを1杯とオン・ザ・ロック4杯を空け、その間に彼女はじっくりと時間をかけてカシスソーダを1杯空けた。そろそろぼくは、帰りの時間が気になりだした。もちろん彼女の、である。
「どこに住んでるの?」
彼女は、どうして?という風にぼくの方に顔を向けた。
「いや、変な意味じゃないよ。変な意味って言うのも変だけど。結構時間も遅くなってきたし、帰り大丈夫かなって思って・・・」
彼女はくすっと笑った。
「寮なの。」
「えっ、寮なの?だったら門限とかあるんじゃないの?」少し大げさに驚いてみせたぼくに、彼女は平然と答えた。
「あると言えばあるけど、そんなに厳しくないから大丈夫なの。ほとんど普通のマンションみたいなものだから。」
「そうなんだ。どこにあるの、寮って?」
ぼくがそう言うと、彼女は少しいたずらっぽい笑顔を浮かべた。
「あのね、GHと乗務員の寮って一緒なのね。だから、簡単に人に教えちゃいけないことになってるの。ほら、危ない人っているでしょ。」そしてもう一度くすっと笑って見せた。
「そんなつもりで訊いたわけじゃないんだけど。でも、それはそうだね。」
「だからね、定期的に場所も移すんだって。結構大変でしょ。私はまだ入ったばかりだから移ったことは無いけど。」
「そうなのかぁ。そんな大変な事だとは思わなかった。」
「でしょ?」
ぼくは、もう一度腕時計に目をやった。
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by ktaro1414 | 2006-12-28 12:31 | STORY