小説9

 休みの日には、ぼくたちはバイクでいろんなところへ行った。夏には海や川に行ったし、秋には山に行った。時には数日泊まりがけで温泉に行ったりもした。また、彼女がぼくの家に泊まることもあったし、ぼくが彼女の家で夕食をごちそうになることもあった。ただ、彼女の家に行ったときにはいつも母親と弟だけで、ぼくは彼女の父親に会ったことはなかった。それは、少しだけぼくの気持ちを楽にさせてくれていた。
 ぼくは、彼女にだけは何も隠し事をせず、悩みや進学についての不安など全て話して聞かせた。彼女もそうだった。ただひとつのことを除けば。それは、彼女の家庭のことだった。ぼくは、いつも彼女の父親だけがいないことを少しだけ不思議に感じていたため、そのことについて彼女に聞くと、決まって彼女は表情を曇らせそのことについては今度話すからと言ってはぐらかすばかりだった。実は、彼女の父親は他に愛人を作り、ほとんど家には近寄らない状態だったらしい。しかし、ぼくがそのことを知ったのはかなり後になってからだった。
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by ktaro1414 | 2006-10-04 13:06 | STORY