忘れた頃に、突然更新


by ktaro1414
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小説89

 嶋村美貴から連絡があったのは、それから数日後の金曜日の朝だった。ぼくは寝ぼけたままだったのだが、彼女の声を聞いて一気に目が覚めた。「近いうちに会えないかな」という彼女に対して、ぼくはすぐにスケジュール帳を確認し、次のバイトがオフの日を数日告げ(それは、翌々日の日曜と、来週の火曜、そして木曜だった)、だったら日曜日がいいという彼女にオーケイと即答し、時間と待ち合わせ場所を決めて電話を切り、忘れてしまわないようスケジュール帳にそれを書き込んだ。そしてシャワーを浴びようと洗面所に行ってふと鏡を見たとき、寝ぼけながらもなんだかにやついたようなぼくの顔が映っていた。それを見たとたんひどい自己嫌悪が襲ってきた。豊田瀬梨香の存在を知られることにより鮎川優菜と疎遠となり、その豊田瀬梨香は豊田香穂里となってしまった。そんな寂しさを嶋村美貴の存在でごまかそうとしているようで、ひどく気分が悪くなった。
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by ktaro1414 | 2008-07-25 12:49 | STORY

小説88

「なんだ、それじゃぁ」と、言いかけたぼくを制するように唐沢が言った。
「でも、オレはヒロミちゃんにオレの連絡先教えてるから、たまに連絡があるんだよ」
だからなんだよと思いながらも、ぼくは続きを待った。
「なんだよ、鈍いねオマエは」そう言って一口だけ水を飲んでちらっと外を見た。「だからオマエんちの電話番号教えといたから、ヒロミちゃんに」
ぼくは一瞬その意味を理解できなかった。
「なんだよ、かってな真似するなって顔だな」
「いや、そんな訳じゃ」ぼくは慌てて否定していた。「ただ、オマエが電話番号教えたからって連絡があるとは限らないじゃないか」
「そりゃそうだよ。ただ、ホントに美貴ちゃんが会いたいって言っているんなら連絡するんじゃねーの。そうじゃなきゃ、無いかもしんないけど」
確かにその通りだ。
「ま、期待しないで待ってな。」そう言いながら、唐沢はトレイを持って立ち上がった。ぼくもつられて立ち上がった。
「オマエ、この後の予定は?」
「今日はバイトだ」
「そっか。残念だな。今日飲み会があってさ、かわいい子来るんだけどな」
「ん、でも無理だ」
「そっか。じゃあまたな」
そう言ってぼくらは別れた。
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by ktaro1414 | 2008-07-09 12:47 | STORY