忘れた頃に、突然更新


by ktaro1414
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小説93

「んーっとね、」ぼくが質問したこと自体を忘れたように飛んでいく水鳥の様子を眺めていると、ようやく彼女が口を開いた。「なんだかうまく云えないんだけど、矢口君って無理に自分を押さえ込んでる感じがするのね。これをしちゃダメなんだとか、ああなっちゃダメなんだ、みたいな。あ、ごめん。生意気なこと言っちゃって」
彼女の言っている意味はわからないではなかった。ぼくは、智絵美の事を当然忘れた事はないし、そのことにより無意識に(当然意識もしていると思うが)行動に制約を付けているような気はする。たとえば恋愛とか。
「ホントにごめん。怒っちゃった?」
「ううん。オレが訊いたんだし。ありがと。何となくわかるような気もするし」
「だからダメだって訳じゃないのよ。ただ、何となくそれが自分自身、辛いんじゃないかなぁなんて思っちゃったの」
「そんなに無理してるように見えるかなぁ。見えるんだろうね。特に意識してないんだけど。あれしちゃダメだ、これしちゃダメだ、とかって」
(恋も)と心の中でつぶやいてみた。
「んー、何となくなんだけどね。たとえば恋愛とか」
ドキッとした。ぼくは思わず彼女を見つめていた。
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by ktaro1414 | 2009-05-28 18:00 | STORY